事業仕分けに対する研究機関の反論2009年11月24日 07時58分04秒

見つけるのが遅れましたが,追加しておきます.
行政刷新会議事業仕分け評決結果によるSPring-8への影響について
SPring-8に馴染みがない方のために説明すると,大変強度の強い光を使って,モノの性質,成分を解明する大型実験装置です.
和歌山の毒入りカレー事件で,毒入りカレーに含まれるヒ素の不純物まで解明した→容疑者の自宅のヒ素の不純物と一致した
といえば分かりやすいのではないでしょうか.

理研科学者会議の野依理事長に対する具申書
こちらは次世代計算機,SPring-8などを統括する理化学研究所から出ています.

さて,事業仕分けですが,今週は大変な案件が続きます.国際問題に発展したり,国民の教育環境を悪化させたりする恐れがあるものが含まれると,先日記しました.どういう事になるのか,目が離せません.

大学の学長,理学部長たちの緊急提言2009年11月24日 19時42分02秒

今日の18時のNHKニュースで,旧帝大(北大,東北大,東大,名大,京大,阪大,九大)と早大,慶大の9大学の学長が,事業仕分けに対して学術・科学技術関連予算の削減反対を表明している事が報じられました.
この会見記事はこちらに掲載されています.
また,国立大学法人10大学理学部長会議の緊急提言が出ておりました.
ここまで科学技術に関する報道が流れたのは,昨年のノーベル賞受賞ニュース以来ではないかという感があります.これで科学技術の重要性が国民に浸透すればいいのですが,一方で未だにオカルト的な番組を垂れ流すテレビ局があり,なかなか難しいかも知れません.私自身,周囲で科学に興味を持つきっかけを作るようにしたり,興味を持った方の疑問に応えるようにしていますが,いかんせん範囲が限られています.

科学者たちの提言続々2009年11月24日 22時54分34秒

事業仕分けがあまりに横暴なので,科学者たちの怒りがひしひしとメールなどで伝わってきます.
私が署名に協力した案件は,200名以上の署名を集めて提出し,代表者が文部科学政務官と会って話をするという事になったそうです.

先ほど,明日の夜に以下の様なイベントがあると連絡を受けました.
ノーベル賞,フィールズ賞受賞者5名が発表するというものです.
ご覧の方でマスコミ関係にお知り合いがいらっしゃる方は,転送して下さい.以下転載します.(フォームの都合上,オリジナル文章から若干改行や空白をずらしております)
記者会見
『ノーベル賞・フィールズ賞受賞者による事業仕分けに対する
緊急声明と科学技術予算をめぐる緊急討論会』

発表日時  2009年11月25日(水)18:30 −19:30 

場 所  東京大学本郷キャンパス 理学部1号館2階小柴ホール

発表者
江崎 玲於奈 (1973年 ノーベル物理学賞受賞者)
利根川 進(1987年 ノーベル生理学・医学賞受賞者)
森 重文 (1990年 フィールズ賞受賞者)
野依 良治 (2001年 ノーベル化学賞受賞者)
小林 誠 (2008年 ノーベル物理学賞受賞者)

発表内容 
現在政府で行われている事業仕分について,ノーベル賞受賞者・
フィールズ賞受賞者による緊急共同声明の発表,記者会見を行い
ます.また当日は会場に研究者,学生も多く参加します.急な設
定になりまして誠に恐縮でございますが,ぜひお集まりいただけ
ますよう,よろしくお願い申し上げます.

会見予定(18:30−19:30)

18:30-18:50  経緯説明
声明発表 
ノーベル賞受賞者・フィールズ賞受賞者のコメント
18:50-19:10  記者質問
19:10-19:30  教員・学生からの質問
             
問い合わせ先

●世話人
石井 紫郎 東京大学名誉教授 
勝木元也 理事 自然科学研究機構  
藤野陽三 教授 工学系研究科社会基盤学専攻

●事務局
横山広美 准教授 東京大学大学院理学系研究科 
広報・科学コミュニケーション 

地図:東京大学本郷キャンパス 理学部1号館 小柴ホール

行政刷新会議の事業仕分けに関する学会の動き2009年11月24日 23時01分14秒

たびたびですみませんが,行政刷新会議の事業仕分けに関する学会の動きを整理しておきます. その他にも続々と各学会で動いているのではと思います.

どうなる,日本の科学技術2009年11月24日 23時16分02秒

現在,「事業仕分け」での予算大幅削減に対し,科学技術の推進の存亡をかけて,研究者たちが積極的に動いています.
日本の科学技術はこれからどうなっていくのでしょうか?政権交代前に書かれた本ですが,先日ご紹介しました迫るアジア どうする日本の研究者―理系白書〈3〉 (講談社文庫)によく描かれていると思います.特に
  • 3章:人材を生かさない日本
  • 4章:進む道を見失った日本の戦略
  • 5章:日本は反撃できるのか
あたりをよくお読みになれば,科学技術が日本を支えてきた事,これから支えようとしている若手研究者が苦境に立たされている事がよく分かります.この状況を理解すれば,「ポスドク支援は生活保護」などとあまりに無知な発言はなされなかったでしょう.
この本,1章はiPS細胞,2章は日本を追いかけるアジア諸国の話です.6章は日本のものづくりが書かれています.5章,6章を読むと光が見えてきますが,5章の「地球シミュレータ」の流れから現れる「次世代計算機」に対して予算が大幅縮減されるという決定をして大混乱に陥っている現状では,光を見失いそうな気もします.
いずれにせよ上記の本,大変いい本です.読む事を強くお勧めします.