Dyson,発想は宇宙を駆け巡る2008年12月20日 15時39分59秒

UK-JAPAN2008のクリスマス企画で取り上げるイギリスの物理学者ですが,今回はフリーマン・ダイソン(Freeman John Dyson,1923年~)を取り上げます.掃除機メーカーの方ではありません.こちらの創業者 Sir James Dyson も興味深い方ですが,今回は紹介しません.
イギリス生まれで,アメリカに留学し,後に帰化しています.経歴を見ると,早くから異才を放っていた事が分かるでしょう.
  • 1945年 ケンブリッジ大学を卒業.大学では数学を専攻.
  • 1947年 アメリカのコーネル大学に留学.
  • 1951年 博士号を取得せずに,わずか28歳でコーネル大学の教授に着任.
  • 1952年 イギリスの王立科学協会会員.
  • 1953年 プリンストン高級研究所教授.
  • 1957年 アメリカに帰化.
物理学上における主な業績として,量子電磁気学の構築があります.朝永振一郎,シュウィンガー,ファインマンらがこの分野では活躍し,ノーベル物理学賞を受賞しています.ダイソンの業績も彼らに対して遜色ないものですが,ノーベル賞の受賞者が3名までという規定のためか,受賞しておりません.
1949年に量子電磁気学に対し,ハイゼンベルクが導入した S 行列を応用する事が大きく評価されていますが,その他にも物性物理学に関する研究を行っており,最近でも1996年に注目される研究成果を挙げています.1972年にガボンのOkloという天然原子炉が見つかりました.約20億年前にウランが自然に臨界に達し,核分裂の連鎖反応を起こしていたという証拠が見つかりました.この反応から,自然科学で「定数」とみなされているものが,本当に定数かどうか10億年以上の時を経て分かるのではという話です.以前に紹介したディラックの大数仮説の検証にもなります.
ダイソンの発想は物理学の基礎理論に留まりません.SFの世界で興味を持たれそうなアイディアとして,ダイソン球ダイソンツリー,宇宙コロニー,宇宙探査に関する斬新な方法などを提案しています.これらについては後ほど解説します.
今回は日本語に訳された著作を挙げておきます.

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