Dyson,発想は宇宙を駆け巡る ― 2008年12月20日 15時39分59秒
UK-JAPAN2008のクリスマス企画で取り上げるイギリスの物理学者ですが,今回はフリーマン・ダイソン(Freeman John Dyson,1923年~)を取り上げます.掃除機メーカーの方ではありません.こちらの創業者 Sir James Dyson も興味深い方ですが,今回は紹介しません.
イギリス生まれで,アメリカに留学し,後に帰化しています.経歴を見ると,早くから異才を放っていた事が分かるでしょう.
1949年に量子電磁気学に対し,ハイゼンベルクが導入した S 行列を応用する事が大きく評価されていますが,その他にも物性物理学に関する研究を行っており,最近でも1996年に注目される研究成果を挙げています.1972年にガボンのOkloという天然原子炉が見つかりました.約20億年前にウランが自然に臨界に達し,核分裂の連鎖反応を起こしていたという証拠が見つかりました.この反応から,自然科学で「定数」とみなされているものが,本当に定数かどうか10億年以上の時を経て分かるのではという話です.以前に紹介したディラックの大数仮説の検証にもなります.
ダイソンの発想は物理学の基礎理論に留まりません.SFの世界で興味を持たれそうなアイディアとして,ダイソン球やダイソンツリー,宇宙コロニー,宇宙探査に関する斬新な方法などを提案しています.これらについては後ほど解説します.
今回は日本語に訳された著作を挙げておきます.
イギリス生まれで,アメリカに留学し,後に帰化しています.経歴を見ると,早くから異才を放っていた事が分かるでしょう.
- 1945年 ケンブリッジ大学を卒業.大学では数学を専攻.
- 1947年 アメリカのコーネル大学に留学.
- 1951年 博士号を取得せずに,わずか28歳でコーネル大学の教授に着任.
- 1952年 イギリスの王立科学協会会員.
- 1953年 プリンストン高級研究所教授.
- 1957年 アメリカに帰化.
1949年に量子電磁気学に対し,ハイゼンベルクが導入した S 行列を応用する事が大きく評価されていますが,その他にも物性物理学に関する研究を行っており,最近でも1996年に注目される研究成果を挙げています.1972年にガボンのOkloという天然原子炉が見つかりました.約20億年前にウランが自然に臨界に達し,核分裂の連鎖反応を起こしていたという証拠が見つかりました.この反応から,自然科学で「定数」とみなされているものが,本当に定数かどうか10億年以上の時を経て分かるのではという話です.以前に紹介したディラックの大数仮説の検証にもなります.
ダイソンの発想は物理学の基礎理論に留まりません.SFの世界で興味を持たれそうなアイディアとして,ダイソン球やダイソンツリー,宇宙コロニー,宇宙探査に関する斬新な方法などを提案しています.これらについては後ほど解説します.
今回は日本語に訳された著作を挙げておきます.
Dyson の考えた不思議な球 ― 2008年12月20日 23時15分32秒
UK-JAPAN2008のクリスマス企画の続きです.
ダイソンのアイディアは,様々なSF小説で応用されているそうです.まずはダイソン球 (Dyson sphere) から説明します.
クリーンなエネルギーという事で,地球では太陽光を利用した発電システムが普及してきています.もちろん,地球の表面積に比べたら,太陽光発電のパネルの面積は微小です.もちろん,太陽光発電以外にも森林が光合成を行い,太陽からのエネルギーを蓄えるという働きをしています.
こういう太陽からのエネルギーを地球で可能な限り受けたとしても,太陽からのエネルギーで惑星に届くのはごく一部で,大半は太陽系の外側へ抜けてしまいます.惑星が回る面が円盤のようなので,円盤に沿わない方向のエネルギーは宇宙に放出されるのです.
そこで,非常に高度な文明が発達した世界では,太陽のような星を人工の建造物で包み込んで,太陽から放出される全エネルギーを利用するのではないかとダイソンは考えました.これがダイソン球です.ただ,全エネルギーを漏らさないような球を作ると,内部のエネルギーが熱となり,温度が非常に高くなってしまいます.そこで,高度に文明が発達した世界では,赤外線などのような電磁波で熱を外に逃がすのではないかと考えました.
球からの赤外線放射は『人為的』なものなので,星からの赤外線とは区別がつきます.この特異な赤外線を発する天体を見つけられないだろうかと,まじめに考えている天文学者も世の中にはいらっしゃいます.ただし,どのようにして恒星を取り囲むような人工の建造物を造るかは,材料の面でも建築の方法の面にしても,大変な困難があるでしょう.空想の産物とはいえ,常人が思いつかない発想には感服するばかりです.なお,このアイディアは(論文審査の厳しい)科学雑誌 Science に 1960年に掲載されました.
ダイソンのアイディアは,様々なSF小説で応用されているそうです.まずはダイソン球 (Dyson sphere) から説明します.
クリーンなエネルギーという事で,地球では太陽光を利用した発電システムが普及してきています.もちろん,地球の表面積に比べたら,太陽光発電のパネルの面積は微小です.もちろん,太陽光発電以外にも森林が光合成を行い,太陽からのエネルギーを蓄えるという働きをしています.
こういう太陽からのエネルギーを地球で可能な限り受けたとしても,太陽からのエネルギーで惑星に届くのはごく一部で,大半は太陽系の外側へ抜けてしまいます.惑星が回る面が円盤のようなので,円盤に沿わない方向のエネルギーは宇宙に放出されるのです.
そこで,非常に高度な文明が発達した世界では,太陽のような星を人工の建造物で包み込んで,太陽から放出される全エネルギーを利用するのではないかとダイソンは考えました.これがダイソン球です.ただ,全エネルギーを漏らさないような球を作ると,内部のエネルギーが熱となり,温度が非常に高くなってしまいます.そこで,高度に文明が発達した世界では,赤外線などのような電磁波で熱を外に逃がすのではないかと考えました.
球からの赤外線放射は『人為的』なものなので,星からの赤外線とは区別がつきます.この特異な赤外線を発する天体を見つけられないだろうかと,まじめに考えている天文学者も世の中にはいらっしゃいます.ただし,どのようにして恒星を取り囲むような人工の建造物を造るかは,材料の面でも建築の方法の面にしても,大変な困難があるでしょう.空想の産物とはいえ,常人が思いつかない発想には感服するばかりです.なお,このアイディアは(論文審査の厳しい)科学雑誌 Science に 1960年に掲載されました.
Search for Artificial Stellar Sources of Infrared Radiation
Freeman J. Dyson
Science, Vol. 131. no. 3414, pp. 1667 - 1668
DOI: 10.1126/science.131.3414.1667
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