LHC の第一の目的は? ― 2008年12月13日 23時15分24秒
クリスマスレクチャーの話題を以前に書きましたので,UK-JAPAN2008というイベントもある事ですし,私もクリスマスに向けて自然科学の話題を書いてみます.
2008年,スイスとフランスの地下にまたがる様に,素粒子加速器(大型ハドロン衝突型加速器)LHCが稼働を開始しました.加速に必要な超伝導磁石を冷却するヘリウムが漏れたため,すぐに停止してしまったのが残念です.
この加速器の目的は何でしょう?「ブラックホールを作る」という話が一人歩きしていますが,これはちょっと無理でしょう.まず,この加速器で実現できるエネルギーからブラックホールを作るとすると,このエネルギーを半径 3.7 x 10^(-50) メートル程度に押し込めなければなりません.(この計算は,私の授業の試験で高校1年生にやってもらいました)
本当の目的は,「質量の起源」を探る事です.シーソーや天秤では,重い側が下に沈みます.これは地球の重力によるもので,宇宙にシーソーや天秤を持っていっても,無重力状態ならば沈みません.しかし,無重力とはいっても,重いものは軽いものよりも動きにくいものです.無重力とはいえ,宇宙飛行士が押せばスペースシャトルが動く訳ではありませんね.
この「重さ」を表す物理量が質量です.この質量がどうやって生じるかを考えたのが,イギリスの理論物理学者ヒッグス(Higgs,1929-)です.彼は様々な素粒子がヒッグス場と呼ばれる場により質量を得ると考えました.宇宙初期の状態から素粒子が質量を得るには,ノーベル物理学賞を2008年に受賞した南部氏の「自発的対称性の破れ」の考え方が必要になりますが,ここでは省略します.
ヒッグス場は量子論で考えられる場で,ヒッグス場を構成するのがヒッグス粒子と呼ばれる粒子です.この粒子は素粒子論の標準模型の中で未発見の重要な粒子であるとされております.このヒッグス粒子を見つける事が,LHCの第一の目的です.
ヒッグス粒子が見つかれば,ノーベル物理学賞をヒッグスは受賞できるでしょう.また,もし微小なブラックホールができたり,さらにその蒸発現象が確認できれば,ホーキング(Hawking,1942年-)がノーベル物理学賞を受賞する可能性があります.ホーキングはブラックホールの蒸発だけでなく,微小なブラックホールの出来かたに関する研究もしているのです.なお,ヒッグス,ホーキングはいずれもイギリスの物理学者です.
2008年,スイスとフランスの地下にまたがる様に,素粒子加速器(大型ハドロン衝突型加速器)LHCが稼働を開始しました.加速に必要な超伝導磁石を冷却するヘリウムが漏れたため,すぐに停止してしまったのが残念です.
この加速器の目的は何でしょう?「ブラックホールを作る」という話が一人歩きしていますが,これはちょっと無理でしょう.まず,この加速器で実現できるエネルギーからブラックホールを作るとすると,このエネルギーを半径 3.7 x 10^(-50) メートル程度に押し込めなければなりません.(この計算は,私の授業の試験で高校1年生にやってもらいました)
本当の目的は,「質量の起源」を探る事です.シーソーや天秤では,重い側が下に沈みます.これは地球の重力によるもので,宇宙にシーソーや天秤を持っていっても,無重力状態ならば沈みません.しかし,無重力とはいっても,重いものは軽いものよりも動きにくいものです.無重力とはいえ,宇宙飛行士が押せばスペースシャトルが動く訳ではありませんね.
この「重さ」を表す物理量が質量です.この質量がどうやって生じるかを考えたのが,イギリスの理論物理学者ヒッグス(Higgs,1929-)です.彼は様々な素粒子がヒッグス場と呼ばれる場により質量を得ると考えました.宇宙初期の状態から素粒子が質量を得るには,ノーベル物理学賞を2008年に受賞した南部氏の「自発的対称性の破れ」の考え方が必要になりますが,ここでは省略します.
ヒッグス場は量子論で考えられる場で,ヒッグス場を構成するのがヒッグス粒子と呼ばれる粒子です.この粒子は素粒子論の標準模型の中で未発見の重要な粒子であるとされております.このヒッグス粒子を見つける事が,LHCの第一の目的です.
ヒッグス粒子が見つかれば,ノーベル物理学賞をヒッグスは受賞できるでしょう.また,もし微小なブラックホールができたり,さらにその蒸発現象が確認できれば,ホーキング(Hawking,1942年-)がノーベル物理学賞を受賞する可能性があります.ホーキングはブラックホールの蒸発だけでなく,微小なブラックホールの出来かたに関する研究もしているのです.なお,ヒッグス,ホーキングはいずれもイギリスの物理学者です.
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