Anthony Leggett 氏講演会12008年05月10日 22時18分31秒

2003年のノーベル物理学賞受賞者である Anthony Leggett 氏の講演会に出席しました.Leggett 氏は超低温での理論物理学において,顕著な業績を挙げたイギリス出身の物理学者です.今回は慶應義塾大学創立150周年と,日英修好通商条約調印150周年を記念してなされた講演で,UK-JAPAN 2008の企画でもあります.

海外の学者と話をする機会はたびたびありますが,日本と違うと思う事が時々あります.専門分野の知識が豊富である事はどの国でも共通ですが,専門分野以外でも歴史や文化に広く通じている方,関心を持っている方が多いという気がします.Leggett 氏も専門分野に限らず,一般向けの著作(物理学のすすめ)があり,また講演も示唆に富むものでした.氏の経歴を見ると,まずはOxford の Ballioi Collegeで古典や哲学で学士を取り,その後改めてOxford の Merton College物理で学士を取っています.このバックグラウンドが,その後の活動によい影響を与えているのかもしれません.

海外で高等教育を受ける場合は,国の補助や奨学金等により,高い学費を払う必要がほとんどないという特徴があります.これは世界的な流れでして,世界人権宣言の国際人権規約に基づくものです.(残念ながら日本はこの規約の「中・高等教育の無償化」の批准は留保しており,優秀な大学院生でも高い学費を納めています).Leggett 氏は一度学士号を取得したので,二度目の学士号取得が許可されるかという問題があったそうですが,いわゆる『スプートニク・ショック』により,国の方針が転換され,理工系に力を注ぐ事になったために可能になったそうです.長い目で見ると,教育こそが国の発展に重要であると考えたのでしょう.

この結果,Leggett 氏は哲学で学士号を取得した後,改めて物理で学士号を取得して,さらに博士号(Ph.D.)を取得しました.

続きはまた後ほど.

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