エイリアン展 余談2008年05月10日 12時32分59秒

エイリアン展の会場でサイエンスコミュニケーターの方が話していた事ですが,現時点で地球外で生命体が見つかっている確かな証拠があります.
少し前に,南極に落下していた火星からの隕石に,生命体の痕跡が見出されたという話がありました.もちろん,これはタコやクラゲのような火星人の痕跡ではなく,微生物の痕跡です.(この件は論争中です.隕石の写真はこちら

「確かな証拠」というのは,地球から月に送り込まれた探査機に微生物が付着していて,その後のミッションで探査機を調べたところ,微生物が数年間も生きていたという事です.これは例えば,以下の2つの点から大問題でしょう.

  1. 地球外で突然変異種が発生する可能性がある事.
  2. もし地球外に生命体が居たとしたら,その生態系を破壊する恐れがある事.
1番目について説明します.地球ではオゾン層の破壊により地表に届く紫外線が増加すると問題視されています.しかし,それより遥かにエネルギーの高い X 線,γ線は大気によって遮られ,宇宙が由来のものは地表に届きません.しかし月では大気が存在しないため,X 線,γ線が降り注ぎます.これらの高いエネルギーの電磁波は遺伝子に変異をもたらす事があります.遺伝子には自己修復機能がありますが,修復しきれないほどの変異を受けると,突然変異種が発生する可能性があります.もしこれが,大変強力な病原体だったりすると…あとは SF の世界でおなじみの事になります.JAXA が解説を公開しています.

2番目ですが,例えば日本でも外来種が在来種を駆逐して根付く事が問題となっています.魚類ですとブラックバスやブルーギルが湖沼に居着いてしまっているという問題があります.同様に,地球から持ち込まれた生命体が,探査した天体に存在していた生命体を駆逐するような事になると,それはまた大問題です.逆の立場になるような話は,やはり SF の世界でおなじみの事でしょう.

このように,惑星などの天体の探査では,機器が正確に動作する事だけでなく,「宇宙検疫」と呼ばれる様な,双方の環境を汚染しない様にする事が非常に重要です.

Anthony Leggett 氏講演会12008年05月10日 22時18分31秒

2003年のノーベル物理学賞受賞者である Anthony Leggett 氏の講演会に出席しました.Leggett 氏は超低温での理論物理学において,顕著な業績を挙げたイギリス出身の物理学者です.今回は慶應義塾大学創立150周年と,日英修好通商条約調印150周年を記念してなされた講演で,UK-JAPAN 2008の企画でもあります.

海外の学者と話をする機会はたびたびありますが,日本と違うと思う事が時々あります.専門分野の知識が豊富である事はどの国でも共通ですが,専門分野以外でも歴史や文化に広く通じている方,関心を持っている方が多いという気がします.Leggett 氏も専門分野に限らず,一般向けの著作(物理学のすすめ)があり,また講演も示唆に富むものでした.氏の経歴を見ると,まずはOxford の Ballioi Collegeで古典や哲学で学士を取り,その後改めてOxford の Merton College物理で学士を取っています.このバックグラウンドが,その後の活動によい影響を与えているのかもしれません.

海外で高等教育を受ける場合は,国の補助や奨学金等により,高い学費を払う必要がほとんどないという特徴があります.これは世界的な流れでして,世界人権宣言の国際人権規約に基づくものです.(残念ながら日本はこの規約の「中・高等教育の無償化」の批准は留保しており,優秀な大学院生でも高い学費を納めています).Leggett 氏は一度学士号を取得したので,二度目の学士号取得が許可されるかという問題があったそうですが,いわゆる『スプートニク・ショック』により,国の方針が転換され,理工系に力を注ぐ事になったために可能になったそうです.長い目で見ると,教育こそが国の発展に重要であると考えたのでしょう.

この結果,Leggett 氏は哲学で学士号を取得した後,改めて物理で学士号を取得して,さらに博士号(Ph.D.)を取得しました.

続きはまた後ほど.