宇宙への秘密の鍵2008年05月25日 20時09分27秒

イギリスの宇宙物理学者というと,現在でしたらおそらくスティーブン・ホーキング (Stephen Hawking)が挙がるのではないでしょうか.物質を引き寄せて二度と逃がさないと思われていたブラックホールが,実は(量子論の効果を考えると)蒸発するという驚くべき研究を発表したり,ロジャー・ペンローズ (Roger Penrose) と共同で物理法則が破綻する点が一般相対論の帰結から起こりうる(特異点定理)ということを示したり,画期的な研究が目立ちます.その一方で,21歳の時に筋萎縮性側索硬化症と診断され、車いすでの生活を送っています.

ところで Hawking 親子が出版した本が話題となっています.『宇宙への秘密の鍵』です.お嬢さんは作家として活躍しており,この本は「この親子でなければ書けない」というようなSFの本です.SFとはいっても荒唐無稽な内容ではなく,現在の物理学,天文学に則って,小学生でも楽しめる,心温まる話になっています.もちろん,Hawking の理論も現れています.
この本,小説として楽しむだけではなく,ところどころに差し込まれる天文学の小ネタや美しい天体写真も見ものです.1900円と新刊小説にしては少々高いように思えるかもしれませんが,十分にその価値はあると思います.

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