昔の仕事で出張2010年07月17日 19時59分34秒

昔手がけていた研究成果を発表するため,海外の国際会議に出張です.
今の仕事との接点を考えて,今の仕事にも寄与できるという事で職場の許可をもらいました.職場では「第三者からの評価」という事がうるさく言われます.今回の私の成果はどんなものでしょうか.
ごく近い人(共同研究者ではありません)からは絶賛されるのですが,この分野で世界最大規模の会議で発表するとなると,実にいろいろなバックグラウンドの方と話をする事になります.一体どういう評価になるか,期待半分不安半分というところです.
あまり評価が高すぎると,今の業務に居続ける事に疑問を抱く事になるので,それはそれで問題でしょう.(たぶんその可能性は低いですけど)
今回の会議,1958年のノーベル物理学賞受賞者の招待講演があります.受賞時に35歳なので,ご存命なのです.52年前の受賞者の講演自体驚きですが,この方の現在のパートナーは54歳年下というのはもっと驚きです.

ちょっと脇道に2010年06月23日 21時56分57秒

ちょっと脇道にそれて,昔の専門分野で国際会議発表へ.
7月に南半球へ行ってみます.自信があまりなかったので口頭ではなくポスターで応募して採択されたのですが,採択者リストを見たところ,口頭でも採択された様な気がします.
じっくりポスターの前で話をする事にしましょう.暫く分野から離れているので,どういうことになるでしょう?
  1. 「その問題,既に解かれている」と指摘され,面目丸つぶれ.
  2. 新しい結果だけど,ほとんどの人に興味を持たれない.
  3. 一部の人に評価され,ポスター発表の後でも話し込む事になる.
  4. 画期的な結果だと絶賛される.
  5. 周囲の遥か先を行くような驚愕する結果で,同業者が呆然とする.
せいぜい3番目が妥当なところでしょう.さすがに最後のはないと思います.

タイムマシンとどこでもドアは同類?2010年01月18日 23時26分52秒

久しぶりに高校へ出かけて行き,恩師や高校生と話をしました.
特殊相対性理論の話でふとした疑問がわいてきました.特殊相対性理論では真空中の光速より速く移動する事は禁止されます.ところで,ドラえもんのどこでもドアを考えると,一瞬ではるか彼方へ行く事が出来ます.これは光速を超える移動と言う事になります.(Minkowsky時空での『空間的』な2点を結ぶ事になります.)
一方,タイムマシンをどうやって作るかというまじめな研究があり,そこでははるか遠くに離れた2点をむすぶようなワームホールを使ってやればいいのではと考えられています.実際には普通の物体がワームホールを通り抜けようとすると,ワームホールが不安定になったり,物体が潮汐力で破壊されたりしてうまくいきませんが,『抜け穴』を考えているようです.
この二つを考えると,ドラえもんの『どこでもドア』と『タイムマシン』は同類という事になるでしょう.

若手研究者育成資金縮減の影響調査及び反対署名2009年12月25日 21時46分17秒

東大理学部物理学科サイトに以下の様なものがありました.
「若手研究者育成資金縮減の影響調査及び反対署名」(PDF)
物理学科の4年生が調査を行い署名を集めた結果を公表しています.競争的資金(若手研究育成)の縮減に対する反対意見の表明です.私も反対して,別のところで署名しました.
注目すべきは事業仕分けに対し,
理系の学生の 8 割余りが「海外へ留学することを検討する」あるいは「研究者への道を 断念することを考える」と回答した ということです.私が大学生や高校生に意見を聞かれたら,前者を薦める事でしょう.
今の政権は,本当に研究者,技術者の存在を否定するのかという気がしています.

ダークマター検出の発表2009年12月19日 19時38分39秒

先日記しました「ダークマター遂に検出?」という話のプレゼンテーションがありました。
結論としては、ダークマターの候補とされる粒子を検出したという、確信の持てる結果は出ていないという事のようです。ちょっと人騒がせな話だったかなという気がします。予算確保のための動きに振り回されたということかもしれません。
小柴さんのノーベル賞受賞理由となった「超新星ニュートリノの検出」や、亡くなられた戸塚さんが手がけた「ニュートリノ振動の検出」の発表に比べれば、発表に慎重さが欠けている気がしました。