研究員の給料が高すぎる?2010年08月25日 23時25分29秒

為替相場,東証の株価指数(TOPIX)などを見ると,日本経済が凄まじい事になっているように思います.
こんな中で,「日本を支えるのは科学技術」だと鼓舞され基礎研究に携わる研究員たちはどうなっているでしょうか.実は他の業種と同様人員削減,待遇の悪化に見舞われています.
とはいえ,「研究員の給料が高過ぎ」という声は聞こえます.ここで,独立行政法人で研究に専念する研究員のうち,任期付で待遇が抜群のものを3つ取り上げてみます. 待遇を見ると,とても厚遇です.国民の平均所得からすると高いです.「これは高過ぎ!」という批判が出ます.
ところが,好待遇なのは,それに見合う成果を出す事を要求されるということなのです.上記の研究員は,日本ではトップクラスの給与を与えられますが,その分トップクラスの成果を挙げる事が求められます.採用されたからといってのんびりできる訳ではありません.着任早々,プロジェクトの研究に専念し,次々と成果を挙げる必要があります.日本学術振興会の特別研究員の採用ページに「我が国トップクラスの優れた若手研究者に対して....」という記述がありますが,上記の研究員はそれらよりもさらに高いレベルの成果を求められます.
さらに,期限付き採用でその後の保証が無いというところが大きいです.一部には,うまく次のポストが見つかればそのまま雇われる事もありますが,たいていは期限が切れたら終わりです.給与には退職金もボーナスも込みです.
意外に思うかも知れませんが,これらの研究員の競争倍率は日本学術振興会の特別研究員(博士号取得者は十数倍)に比べると低いです.分野が限られる事も理由の一つですが,求められる成果のレベルが高いので応募者が敬遠するということも大きな理由かと思われます.たとえばJAXAの「はやぶさプロジェクト」を見てみれば,研究の最前線で活躍する研究者が大変そうなのは分かるかと思います.
「給料が高くて楽な仕事」というのは,研究職(特に理系ポスドク)では無いようです.