放射線量等分布マップ(線量測定マップ)2011年08月14日 20時56分22秒

この手のネタを書くのはあまり気が進まないのですが,なぜかマスコミが全くと言っていいほど取り上げないので紹介します.

文部科学省による放射線量等分布マップ(線量測定マップ)の作成について

ここで公開されている資料には,主に福島県内(福島第一原発から半径100km以内)の放射線量マップがあります.2km四方のメッシュで区切られていて,どの地域の地表から高さ1mの空間線量率がどれくらいかという事が一目で分かります.
これを活用すれば色々な事を考え,判断する事が出来るでしょう.

サイエンスコミュニケーター2011年07月14日 16時37分11秒

世の中には「サイエンスコミュニケーター」というお仕事があります.第一線の研究者の研究を分かりやすく一般市民に解説する仕事です.研究の最先端になると新しい用語や考え方が次々に生まれ,他分野の人が理解するのが難しい事がしばしばあります.難しい専門的な事をいかに分かりやすく伝えるかは一流の科学者にとって重要ですが,なかなか難しい事も多いです.研究者と一般市民との橋渡しとして,今後益々重要になるでしょう.
サイエンスコミュニケーターになるための講座が,今では次々と開設されています.例えば国立科学博物館や,日本科学未来館などでなされています.
もちろん研究者がサイエンスカフェなどで直接話しかける活動も重要です.私も研究者の一人として,こういう機会があれば積極的に参加したいと思います.たた,こういうのは非常に難しいです.実施される研究者,技術者には本当に頭が下がります.
放射線に関するご質問に答える会の開催について(日本原子力研究開発機構)

「京」が1位2011年06月21日 20時04分29秒

理化学研究所 計算科学研究機構の次世代スーパーコンピュータ「京」(K-computer)が,2011年6月に公表されたベンチマークのLINPACKの性能リストにおいて,1位となりました.おめでとうございます.
2位じゃダメなんですか?」といわれた,あのスーパーコンピュータです.諸外国でも同等のスーパーコンピュータ開発計画があるので1位は難しいと思っていましたが,これは技術者の意地でしょうか.それとも外国の戦略ミス?

蓮舫に取材が殺到したようですが,事業仕分けのときのコメントについて「前後の発言を見れば真意ではないと分かる」と弁解しています.それでは議事録を見てみましょう.この発言の前に異様に長い発言をしている仕分け人が居るのが気になるところです(一時期,円周率の桁数世界一になった方ですね).説明者の説明もイマイチですが,前後を読んでも1位になる意義を否定していると取られて仕方ないと思います.
この件,おそらく仕分け人の多くが分かっていないのは,スーパーコンピュータは国によっては軍事と直結するので,そう簡単に他の国に売ってくれないという事ではないでしょうか.平和利用でここまで推進しているのは珍しい国だと思います.
この話はこれくらいにしておいて,今回のリストで注目は429位のDEGIMAです.「京」は理化学研究所,富士通その他の総力を結集した賜物です.一方でDEGIMAは,研究者が独創的な発想に基づいて手作りでその辺に売っていそうな数多くのコンピュータを接続して,高い性能を出している事です.計算内容は限られますが,地球シミュレータ2とほぼ同性能の計算機を4000万円ほどで完成させ,2009年に世界中をアッと言わせています.

震災関連のシンポジウム2011年06月16日 20時12分05秒

防災科学研究所のシンポジウムが6月26日に行われます.
また,日本物理学会のシンポジウム,物理学者から見た原子力利用とエネルギー問題の膨大な講演資料が公開されています.講演者によって,同じ問題に全く異なる意見を出しています.この資料を読むには自分で気になった情報をさらにネット上等で調べて,自分なりの答えを見つける事が重要かと思います.

夢の技術?2011年06月11日 19時23分06秒

休日なので,いろいろな文献を読んで「おっ!」と思った一節がありました.

新技術が素晴らしいと言っても,「***はクリーンで安全な夢の技術です!」と欠点に注意を払わずに諸手を上げて絶賛するのは危険です.

おそらく,30〜40年前には***は『原子力』だったでしょう.今は「原子力は危険」ということで,***は「自然エネルギー」の何かが入るのではないでしょうか.では,「自然エネルギー」は全く問題のない,安全な技術でしょうか.大規模に導入する前に,少し検証しておいた方がいいのではと思います.