高校を訪ねてみたら2010年03月01日 21時29分16秒

先週の土曜日,久しぶりに高校を訪ねてみました.
恩師といろいろ話をした後で,ちょっと変わった講演会を覗いてみました.国会の予算委員会で鳩山首相に献金問題(脱税問題)を問いただした与謝野馨氏が来校との事でした.
2050年問題を考える内容で,今後日本は国として何をすべきか,これから活躍する若者たちは何をすべきかという,非常に分かりやすい話でした.
  • 日本は戦後貧しかった.でも国民が努力して豊かにした.今の豊かさは天から降ってきたものではない.
  • 君たち(高校生)が競うのは,国内の高校生たちではない.世界中の同年代の人たちだ.例えば中国,韓国の若者は猛烈に勉強し,のし上がろうとしている.
  • 日本は技術力により生産した製品を輸出し,それが輸入を上回っていた.ところが近年,拮抗してきている.これでは海外から食料を輸入してきた戦略がうまくいかなくなる.
  • 今後,人口が減少する.成熟した経済の国では起こりうる事だが,問題は人口の年齢構成が変わりながら減少する事だ.
というような話を,経済通の政治家からの立場でありながら,一方で後輩たちの将来を案じるOBの立場として,説明していました.私が共感を得たのは最後の方です.
「日本がうまくやって行くにはどうするか.やはり技術でやってくべきだと思う.日本には世界に誇るべき技術が沢山ある.そこで,私が大臣の時に補正予算として,若手研究者を海外に派遣する予算と,これぞという基礎研究に重点的に配分する予算を組んだ.でも,政権交代で無しになってしまった.」
「うまくやるには,優秀な人をほめておだてて,よく働いてもらう事だ.その成果を少し分けてもらえば,みんな幸せになる.韓国には『一人の天才で10万人が食える』という言葉がある.とにかく,優秀な人をほめて育む事が必要.(私は優秀な官僚に仕事を任せて,だいぶ楽をした.逆に今の官僚たたきをする政権はうまくないと思う)」
たしかに,日本は科学技術でこれまで世界の舞台に躍り出た訳で,資源が乏しく耕地面積も人口に対して狭い日本がやっていくには,今後も高度な技術をウリにするのが最善かと思います.
世の中が変わって行く中で生き残るのは強い人ではない.変化に柔軟に対応できる人だ.
これも,社会システムのIT化の流れ等をみると分かる気がします.受験で選別されるとはいえ,極めて個性的な学校なので,生徒たちには常識にとらわれない人が多い気がします.彼らは何とかやっていけるでしょう.
最後に,生徒との質疑でこういう話もありました.
Q「労働しないで儲けようというのはあまり良くないと伺いました.ところで中東等では,政府がファンドを組んで運用し利益を得ています.日本では,こういう事はやらないのですか?」
A「確かにやっている国はあります.10億,20億で年利10%とうまく行く場合もあります.でも,数兆円を動かすと,世界の平均金利しか儲けられないのです.だから,巨額の資金を動かしたところで,大きな利益を得られません.」
たしかに.投資を煽る雑誌記事等を目にしますが,簡明な説明で納得しました.債券ではなく株式,天然資源などを考えると,買値よりも高く買い取ってくれる人が居ないと儲からない訳なので,大量に買い込んだところでそれより高く買ってくれないと損をします.それを忘れて破産した大富豪が,過去に居たという話を,この講演以外のところで知った事があります.

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