子ども手当の陰で2009年09月13日 22時14分49秒

政権交代で,民主党の政策の目玉の一つである「子ども手当」が良くも悪くも注目されています.「財源をどうするのか?』ということが取りざたされている様ですが,既存のところを削っていく様です.
研究絡みで行くと,とんでもないことが次々となされようとしています. 現時点ではっきりしていることは,補正予算で組まれた の予算が執行停止になりそうということです.
前者は,iPS細胞の様な,世界の最先端をひた走る研究に巨額の予算を注ぎ,世界第一級の成果を挙げることを推進するものです.中には純粋な基礎研究もありますが,応用することにより日常生活に反映されるものもいくつかあります.特にiPS細胞は,以前にゲノム解読で日本が大失態を犯しているので,ミスしては困るテーマです.特許を日本が抑えれば,医療費高騰が少しは抑えられるかというところです.
後者は「優秀な若手は,海外で暫く(3ヶ月以上)国費で武者修行させよう」というものです.明治時代の話のように思えて,「何をいまさら」とお思いの方がいらっしゃるでしょう.ところが現在の大学では,助教や講師といった若手教員が多くの講義を割り振られ,さらに大学の様々な行事に引っ張り出されて,研究し辛い環境にあります.優秀な研究者にそういう環境を離れて,しばらく研究に専念してもらおうということが趣旨です.私自身,1ヶ月ほど海外にいて,目覚ましい研究成果を挙げたと自分では思っております(周囲になかなか認めてもらえず苦労してますけど).

それで今日の新聞記事です.
日本が変わる:「独法」見直し 「埋蔵金」回収、難航も
JAXAの見直しは驚きました.他にもいくつか資産や補助金の多いところが挙げられています.でも,研究分野以外には疎い私から見ても,削るのは無茶だろうということは感じられます.
研究分野ですと,
  • 日本原子力研究開発機構
    日本の平和利用の原子力開発を担っている研究機関.組織の構成や主要事業(もんじゅ)はともかく,現時点でこれを代替出来る機関は日本になく,国際協調の観点からも存続すべき機関です.
  • 宇宙航空研究開発機構
    日本の宇宙開発を担っている研究機関.国際宇宙ステーションへの物資輸送ロケットを先日打ち上げたように,国内の衛星打ち上げの件だけでなく,国際的にも存続すべき機関です.
  • 新エネルギー・産業技術総合開発機構
    燃料電池,省エネルギー,新エネルギー開発の組織と,情報通信,環境,ナノテクノロジー,ライフサイエンスなど産業に結びつくテーマの基礎研究をしている組織です.日本の産業の土台を支えている組織といえるでしょう.
  • 日本学術振興会
    一般の方には馴染みが薄いでしょうが,研究者に研究費を交付したり,若手研究者を雇用している機関です.ここの補助金を削ることは,日本の研究に対する補助の削減を意味します.
というわけで,大幅な補助金カットは出来そうにありません.もちろん,天下りの理事の給与カットなどは出来るでしょうけど,全体の予算からすると微々たるものです.
これらから予算を削るということは,日本は技術立国であることをやめるということになります.食料自給率が低く,天然資源が乏しい日本が,今後どうやって世界でやっていくのか,予算を削ろうという方針を掲げている方達に伺いたいと思います.
8月のわずか2日間で,歳費(給料)1ヶ月分を満額受け取る人たちに予算削減などされたくないというのが,私の本音です.この問題,2001年の参議院議員選挙後(2001年7月29日〜)で既に話題になっているのですが,自分たちのことは見直さない様です.

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