ダーウィン展その12008年06月01日 19時06分01秒

上野の国立科学博物館で開催されているダーウィン展に行ってきました.あいにくの雨でしたが,地球館の地下の特別展示場は混雑していました.
もちろんダーウィンと言えば進化論で知られる学者です.イギリス生まれという事で,UK-JAPAN 2008のイベントの一つとして,世界中を巡回している展示会が、今年は日本に来たという事です.夏休みには大阪で展示が行われるので,今回行かれなかった方は大阪でもチャンスがあります.
200年ほど前に,産業革命により裕福になった家庭(母方の祖父はウエッジウッド社の創業者)に生まれたチャールズ・ロバート・ダーウィン(Charles Robert Darwin)は,幼い頃から好奇心おう盛だったそうです.親の希望だった医者の道に進まなかった彼は生物に興味を持ち,「牧師になれば生物の事を考える時間的余裕がある」ということで,牧師になるべく大学に行ったものの,博物学や自然科学にさらにのめり込む事になりました.

ダーウィン展その22008年06月01日 19時15分31秒

大学卒業後,恩師の紹介でイギリス海軍の測量船ビーグル号に乗る事が出来ました.しかしこの乗船には父親は反対だったようで,乗船に至るまでの葛藤があったようです.今回の展示では当時の貴重な手紙も展示されており,どのようにして若いダーウィンが乗船できる様になったかという興味深い面を見る事が出来ます.
ところで,ビーグル号の目的は南アメリカ大陸の海岸線の測量でした.ダーウィンは学者としてではなく,艦長の話し相手という客人としての乗船だったために,あまり規則に縛られずにいたようです.この時にダーウィンはガラパゴス諸島に行くわけですが,南米の花山や地震活動も観察し,記録を残しています.また,艦長が非常に几帳面に記録を残していたが故に,後になって分類が非常に役立ったという点も面白いです.革新的な学者と言えども,万能でない一面を垣間見た様に思います.
ビーグル号は5年かけて世界を一周しています.さすがに最後の方はホームシックになっていたようです.また,この時は分類をする事には強い関心があったものの,進化という考えに至るのはまだ先のようです.
進化論に至るまでには『人口論』という社会学,あるいは鳩や馬の品種改良と行った事にも着目し,新しい理論を確立していきます.確立はしたものの,実際に公表したのはずっと後の事でした.

ダーウィン展その32008年06月01日 19時25分55秒

中世ヨーロッパでは,キリスト教の教会の力が絶大でした.天文学では「天動説」を唱え,生物学では「創造説」を唱えていました.これに異議を唱える事は非常に危険な事でした.天文学ですと,
  • コペルニクス:死後に「天球回転論」を出版.閲覧一時停止の措置を受ける(1616年に解除).
  • ジョルダーノ・ブルーノ:火あぶりの刑を処される.
  • ガリレイ:地動説を捨てる事を宣告される.
というような状況です.
ダーウィンは慎重に検証を重ね,着想から20年を経て発表しました.実はこのとき,アルフレッド・ラッセル・ウォレス(Alfred Russel Wallace)も進化論に至っており,学会では同時の報告になったという事です.発表後の反響はすさまじく,賛否両論が入り交じるものでした.猿の胴体にダーウィンの顔をつけたような風刺画も描かれたそうです.

この進化論,日本ではすんなり受け入れられたそうです.キリスト教は『創造』が教義の一つであるのに対し,仏教は『輪廻転生』で人間だけを特別視しないという下地が会ったからかもしれません.なお,進化論を日本に持ち込んだのは,大森貝塚の発見で知られるエドワード・モースだそうです.

ダーウィン展の最後の見所は,晩年の書斎を復元したところです.愛用の椅子,杖,机などが設置された部屋が復元されており,ダーウィンは椅子に板をおいて物書きをしたそうです.また,後半生はロンドンから離れた静かなところで暮らしていたということで,産業革命による社会の急激な変化に巻き込まれるという生活でもなかったようです.

ダーウィン展その42008年06月01日 19時45分07秒

ダーウィン展は見所たっぷりです.200年前の資料が揃っていたり,ビーグル号で見てきたものと考えられる動植物の資料などが数多く展示されていたりします.私は3時間ほどで回るつもりでしたが,4時間はかかると考えておいた方がいいでしょう.

会場には上野動物園で飼育されている80才ほどのゾウガメが居りました.昼過ぎだったせいか,まばたきだけでピクリとも動きませんでした.ゾウガメは大変長生きで,ダーウィンがガラパゴス諸島から持ち帰ったとされるガラパゴスゾウガメは2006年に175才で天寿を全うしたそうです.
他にも,ダーウィンにまつわる映画の放映があります.じっくり見ようと思うと,やはり一日がかりではないかと思います.私は狩りませんでしたが,有料の音声ガイドを借りれば,混雑時で説明文が読みにくい時は重宝するかもしれません.

上野での展示は今月限りですが,せっかくですから行かれた方は国立科学博物館の一般展示も見ていかれるといいでしょう.

新しい仕事2008年06月08日 11時58分20秒

諸事情により,新しい仕事に就く事になりました.
高等教育だけでなく中等教育にも関わる事になりましたが,双方に関わる事に依り,今後にメリットをもたらす様になればと考えています.
もちろん,若い人たちに夢を与えられること,可能性を広げられるようである事が大事でしょう.「この国には何でもある.だが,希望だけがない」 と中学生に言わせるような国にしないために.