これからを担う人たちに2011年05月08日 22時44分26秒

震災から約2ヶ月.世の中がいろいろと動いています.
私がかつて勤務していた大学は,そろそろ授業開始となるようです.教育現場から離れているので関与する事はありませんが,これからを担う人たちに昔の文献から一節を引用して伝えようと思います.

文献は福沢諭吉の学問のすゝめです.
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。で始まる文章,ここを現代語訳すると人間は本来みんな平等であるということです.これを読むと,「社会に格差があるのはけしからん!」と思う方がいらっしゃるでしょう.それでは,2段落目の最後の文を引用します.

ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。

つまり「学問に励んでいろいろな事を知る人は出世し裕福になり,学ばない人は出世もせず貧しくなる」という事です.

私なりに解釈すると,「学ぶ機会がありそれを活かして行く人は幸せな将来が開けていくが,機会がありながら学ばなかった人はおちぶれていく」という事でしょう.研究生活を送っていると,よく分かります.積極的に研究に励み,偉業を成し遂げて30代半ばで教授に就任しプロジェクトを引っ張っている人の一方で,研究よりも飲み会が大好きで,業界から消えて行った人を見ています.
大事なのは「結果の平等」ではなく「機会の平等」です.もし学べるチャンスがあったら,つまらない事にとらわれずに大いに好奇心を持って学んで下さい.「何故だろう?もっと調べてみよう.」を繰り返していけば,幅広い知識を得る事が出来るでしょう.今はインターネットを活用して,様々な情報に接する事が容易になっているのですから.
ただし,「情報の真偽を見極める能力」も必要になってくるので,その点も注意して下さい.震災以降,明らかに非論理的,非科学的な情報に触れて騒ぎ,むやみに拡散する場面もいくつか見ています.「あの有名な**さんが言ったから」信じるのではなく,自分で「何故だろうか?」と疑問を持って考える事も重要です.考えるためには前提となる知識が必要なので,知識と判断能力は互いに絡み合っているといえるでしょう.

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