NASAのリリースに関する解説2010年12月03日 19時33分08秒

午前4時の会見は,ヒ素(砒素)を含む生命体を発見したというものでした.「地球外生命体発見?」という噂も流れた割には地味なものに見えます.
でも,宇宙生物学にとってはインパクトの大きいニュースです.少し解説します.
地球には,微生物になるとpH1.0の強酸や100度を超える環境でも活動するものが居ます.未だに強い放射能を持つ旧チェルノブイリ原発で生息する微生物も居ます.ただ,生命体は炭素・水素・酸素・窒素・硫黄・リンの6元素が必須と考えられてきました.このうち,リンの代わりにヒ素を持つ生命体が地球で見つかったというものです.
現在,電波観測で遠方の天体にどのような元素,化合物があるかがある程度分かります.原子,分子に固有の周波数の電波を吸収,放出するからです.この電波を元に,例えば惑星や天体にどのような元素があり,生命体が存在する可能性がどれほどなのかを推測して,詳細な調査を行います.今回の発見は,ヒ素が存在する天体でも生命体が居る可能性があり,地球外の生命体を探査する際の候補が増えたという事になります.
それでも私には,はやぶさのサンプルリターンの方が遥かにインパクトが大きいと思います.こちらは太陽系の起源に迫るものであり,地球(もしかしたら地球以外の太陽系の天体も?)の生命体の起源に迫るものでもあるからです.

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://astrolink.asablo.jp/blog/2010/12/03/5555654/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。