事業仕分けの舞台裏2010年05月02日 21時23分37秒

事業仕分け第2弾で,いくつかの研究機関は部署の統合や廃止が結論づけられました.
各々の項目の仕分けに関する時間は1時間程度でした.仕分け人が資料を読み込んでいないためにしているのではという質問もあり,核心を突いた議論が出来ていないのではという感もありました.とある議員は,説明者の発言中,そっぽを向いて髪をいじり回している姿が中継されていました.あまりに失礼ではないかと思いました.

さて,1時間でひとくくりの議論がなされた事業仕分けですが,対象とされた事業に従事している人たちは大変でした.ここではいくつかの情報源から得た仕分けの舞台裏の様子を軽く整理してみます.
事業仕分けの対象となる事は,だいたい仕分けの1ヶ月くらい前から分かってきました.仕分けに際し,その事業が今までまともにやってきて,外部からの評価も高く,必要性も高いという事を客観的な資料を揃えて説明する必要があります.事業仕分けではどういう質問が出るか分かりません.そのため,用意する資料も膨大なものになります.資料を用意するため,研究機関では事務職だけでなく,研究職,技術職も連日資料作成にかり出されました.しかも残業の連続です.噂によると徹夜で資料作成に関わったという話もあります.先日書きました通り,本来は国の方針に従って,高度な専門的技術を有する研究職,技術職は研究の遂行に専念すべく雇用されています.あまり前向きでない作業に従事されるべきではないと思いますが,自分の雇用がかかってくるとそうも言っていられないでしょう.
研究業務を止めてまで作成した膨大な資料は整理され,当日の事業仕分けの際に提示する資料と,説明者が持参する資料に分類されます.ネットで公開されている事業仕分けの資料の数倍以上の資料を,説明者側では用意しています.
実際の事業仕分けで説明者として出席するのは,監督官庁の担当部署の方(局長,課長)と独立行政法人の理事です.現場で各々の研究を監督し熟知している方(研究者)は,説明員の後ろに控えていたようです.質疑に答えるのは説明員です.咄嗟の質問では,後ろに控えている方と相談の上で回答するという事があったようです.
短い時間で結論が下された公開の事業仕分けですが,ここでの結論がそのまま方針として決定される訳ではありません.この後,行政刷新会議で諮り,5月中旬に会議としての結論が出て首相に報告されます.首相はこの結論を受け,独立行政法人の監督官庁に居る政務三役(大臣,副大臣,政務官)に指示を出します.政務三役は各省庁に戻り,独立行政法人に対する処置を実行します.実際に事業仕分けの結果が反映されるのは5月後半以降です.
現政権が沖縄の基地問題で手詰まりになり総辞職等をした場合,政務三役も総辞職です.事業仕分けの結果が反映される前に総辞職した場合,独立行政法人に対する措置がどうなるかは分かりません.