98の独立行政法人とは2010年03月10日 16時10分54秒

事業仕分け第2弾で対象となる独立行政法人ですが,はたしてどんなところがあるのでしょうか.
総務省の独立行政法人のWebページにリストが載っています. 詳細は各府省・独立行政法人等のリンクから御覧下さい.
じっくり見ると,廃止したら日本が立ち行かなくなるという組織がゴロゴロあります.槍玉に挙げられる「交付される国からの補助金の大部分が,天下りの方の人件費に消える」という話ですが,実際に交付金の多い団体を見てみると,そうではありません.
2009年度予算の上位10位を見てみます.
  1. 国際協力機構              2928億円 

  2. 宇宙航空研究開発機構          2410億円 

  3. 新エネルギー・産業技術総合開発機構   2346億円 

  4. 住宅金融支援機構            2240億円 

  5. 日本原子力研究開発機構         1848億円 

  6. 日本学術振興会             1568億円 

  7. 日本学生支援機構            1514億円 

  8. 農業者年金基金             1289億円 

  9. 石油天然ガス・金属鉱物資源機構     1284億円 

  10. 都市再生機構              1141億円
この中で,宇宙航空研究開発機構新エネルギー・産業技術総合開発機構日本原子力研究開発機構は純粋な研究機関です.日本の将来を支える基礎研究に,予算の大部分がつぎ込まれています(もちろん,研究を行う方々の人件費もあります).日本学術振興会は大学などの研究機関に研究費を配分している基幹です.これらを潰すと,「科学技術立国」として長年培ってきた日本の研究が壊滅します.これを指して,過激な私の友人は「民主党の行う事は文化大革命どころではない.知識人を抹殺したポルポト派だ」と評しております.
住宅金融支援機構は国民が住宅取得のために低金利で融資を受けるための組織,日本学生支援機構は学生が無利子あるいは低利子で学費を借りられる(外国と同じ基準で見れば,給付ではないので奨学金とは呼べません)組織 です.これらを潰すと,住宅を取得しようとしたり,大学に進学したりする国民が困るのではないでしょうか.
一部のマスコミはきちんと考えもせずに批判ばかりするので,困ったものです.マスコミのいう事を鵜呑みにせず,情報を取捨選択して自分の頭で考え,結論を導く事が大切だと思います.

大学の合格発表シーズン2010年03月11日 19時20分55秒

そういえば,国立大学の合格発表がこの時期です.東大は昨日の午後だったと思います.
だいぶ昔の話ですが,ふと思い出してみました.大学は2つしか受けていないのですが,通る見込みがなさそうという声の多かった方にすんなり入り,少し期待できるかもと言われた方がダメでした.もっとも,後者の受験は「無謀」という声もいくらかあったわけですが.
その後大学に入り,よい友人を得て切磋琢磨し,今に至ったという次第です.高校の同級生で「将来は物理学者になるんだ」と言っていた優秀な人がゴロゴロいて,希望の大学にもすんなり入った訳ですが,物理学者として大学や研究機関に残っている人は少ない気がします.そう考えると,物理を専攻しそれなりの業績を挙げられた自分は,幸せな部類と思っています.
振り返ってみると,大学に合格した時よりも,卒論で自分の希望する分野の研究室に配属された時の方が,はるかにうれしかった様な気がします.

事業仕分け第2弾の前の雑感2010年03月12日 05時27分15秒

4月中旬から事業仕分け第2弾がなされるようです.行政刷新会議Webページの,第6回会議議事次第にどのように進めるかが書かれています.ただ,この会議の参加者が政治家,企業経営者ばかりです.それから事務局長は以前に批判を受けた人がそのままです.
進め方を見てみますと,
実際の事業内容や予算の使われ方を熟知した外部の識者・経験者が、評価者とし て、予算執行の現場への徹底したヒアリングや調査等に基づき事業仕分けを行う。』
とのことです.昨年の事業仕分けで科学技術を担当された方は,そういう方ばかりでしたでしょうか.大いに疑問があります.

日本の科学技術政策は,総合科学技術会議で検討されます.この会議は各省より一段高い立場から,広い視野を持って総合的に政策を考える会議です.この中で,科学技術基本計画が策定され,実行される事になっています.この会議での決定事項を,事業仕分けで無視するわけにはいかないのです.
第3期科学技術基本計画のポイントを見ると,事業仕分けは明らかにこの方針に反する事ばかりの気がしました.「世界最高水準のプロジェクトによる科学技術の牽引」の理念は,蓮舫議員がケチを付けた次世代スパコンの開発などが該当するのではないでしょうか.また,「科学技術により世界を勝ち抜く産業競争力の強化」は,まさに科学技術で日本をもり立てて行こうというものです.「人材の育成,確保,活躍の促進」にしても,この科学技術の研究開発に取り組む若手を育てていく事が繋がります.これらの予算を,短時間でばっさばっさ切り捨てたのが,昨年の事業仕分けです.
こういう実態があるにもかかわらず,なぜか昨年の事業仕分けを支持する方が非常に多いのか疑問です.「科学がブラックボックス化」しているためか,科学技術の有り難みが分かりにくくなっているのではないでしょうか.
例えば,「3ヶ月程度で機種が更新される携帯電話について,携帯電話を開発している技術者たちがどういう状況か想像した事がありますか?」と問う事があります.こちらなどを見ると,まさに「地獄」という状況です.こういう苦闘があって,日本人は便利な生活を送れる訳です.便利な生活の裏側をちょっと考えてみる事も必要かなという気がします.
なお,文部科学省が,科学技術政策に関する意見を募集しています.4月17日にシンポジウムを開催し,その際に活用するようです.私の友人が事業仕分けに対する意見の取りまとめで昨年は大活躍しましたが,今回はどうでしょうか.

春休み?2010年03月22日 21時48分37秒

学校は春休みでしょうか.私は仕事で春休みどころではありません.学校から離れるのはいつ以来でしょうか?小学校,あるいは幼稚園かもしれません.
母校(高校)のWebページを見ると,終業式でお世話になった先生方が定年で辞められると知りました.先日伺った時に,懐かしそうに話をした事を覚えております.理系だったため,特に数学や物理の先生には顔や名前だけでなく,いろいろな事を覚えられていたようです.
後任の先生方がどうなるか気になるところではあります.年明けに落ち着いたら,また伺ってみようかという気がします.幸いにも,講師で教えた生徒たちはまだ受験した年ではないので,気まずい状況ではないでしょう.
かつて授業を生徒には,何か相談があればメールで相談に応じると伝えています.夢や希望を沢山持った生徒たちに応えられるか,若干不安な気がします.ここのところ会うたびに,「事業仕分けで日本の基礎科学研究がガタガタにされている.」という話ばかりしていました.4月からの「事業仕分け第2弾」では,国から独立行政法人に移管した研究機関も対象になる様なので,この後においても生徒に夢が語れるか,不透明な状況です.

卒業式シーズン2010年03月27日 17時50分26秒

今年度は教育から離れたので縁がありませんが,大学の卒業式が先週〜今週あたりになされるところが多いようです.
遥か遠い昔の記憶を辿ると,理系だったためか学部よりも修士修了の時の方が印象が強いです.ちょっと風変わりな服装(友人には「ホストみたい」と言われた)だったので目立ってしまいましたが,修士で企業に就職する人が多かったので,その夜は学会発表が近い事を忘れて盛り上がりました.
一方で博士の方は,学部から一緒に進学した同期の人たちと修了の時期がずれたため,知人がだれもいない非常に寂しい卒業式(学位授与式)でした.今は進学率が上がり,博士の学位取得も少し条件が緩くなった感がありますので,そういう事は少ないかと思います.なるべくなら親しい友人とともに卒業するのがいいと思います.