事業仕分け第2弾の前の雑感2010年03月12日 05時27分15秒

4月中旬から事業仕分け第2弾がなされるようです.行政刷新会議Webページの,第6回会議議事次第にどのように進めるかが書かれています.ただ,この会議の参加者が政治家,企業経営者ばかりです.それから事務局長は以前に批判を受けた人がそのままです.
進め方を見てみますと,
実際の事業内容や予算の使われ方を熟知した外部の識者・経験者が、評価者とし て、予算執行の現場への徹底したヒアリングや調査等に基づき事業仕分けを行う。』
とのことです.昨年の事業仕分けで科学技術を担当された方は,そういう方ばかりでしたでしょうか.大いに疑問があります.

日本の科学技術政策は,総合科学技術会議で検討されます.この会議は各省より一段高い立場から,広い視野を持って総合的に政策を考える会議です.この中で,科学技術基本計画が策定され,実行される事になっています.この会議での決定事項を,事業仕分けで無視するわけにはいかないのです.
第3期科学技術基本計画のポイントを見ると,事業仕分けは明らかにこの方針に反する事ばかりの気がしました.「世界最高水準のプロジェクトによる科学技術の牽引」の理念は,蓮舫議員がケチを付けた次世代スパコンの開発などが該当するのではないでしょうか.また,「科学技術により世界を勝ち抜く産業競争力の強化」は,まさに科学技術で日本をもり立てて行こうというものです.「人材の育成,確保,活躍の促進」にしても,この科学技術の研究開発に取り組む若手を育てていく事が繋がります.これらの予算を,短時間でばっさばっさ切り捨てたのが,昨年の事業仕分けです.
こういう実態があるにもかかわらず,なぜか昨年の事業仕分けを支持する方が非常に多いのか疑問です.「科学がブラックボックス化」しているためか,科学技術の有り難みが分かりにくくなっているのではないでしょうか.
例えば,「3ヶ月程度で機種が更新される携帯電話について,携帯電話を開発している技術者たちがどういう状況か想像した事がありますか?」と問う事があります.こちらなどを見ると,まさに「地獄」という状況です.こういう苦闘があって,日本人は便利な生活を送れる訳です.便利な生活の裏側をちょっと考えてみる事も必要かなという気がします.
なお,文部科学省が,科学技術政策に関する意見を募集しています.4月17日にシンポジウムを開催し,その際に活用するようです.私の友人が事業仕分けに対する意見の取りまとめで昨年は大活躍しましたが,今回はどうでしょうか.