入試問題の解答にどれくらいかかる?2011年03月01日 21時46分52秒

入試問題が試験中にYahoo!知恵袋で質問されていた件,いろいろな報道がなされています.その中でちょっと首を傾げたのが,
質問してすぐに答えが返ってくる.凄い.
というものです.
学力を問うクイズ番組でも理科や算数(数学)の問題が非常に少ないせいか,まともに理系の学問を修めた人の能力をきちんと分かっていないのでしょう.

今日見かけた面白い入試問題を解いてみました.
問題:tan 1(1度のタンジェント)が無理数である事を示せ.(2006年京大理系後期)

答え:
tan 1 が有理数と仮定する.
三角関数の和の公式
tan(A+B)=(tan A+tan B)/(1-tanA*tanB)
より,A=B=1 とすれば tan2 も有理数となる.
tan Nが有理数ならば,A=N, B=1 で tan(N+1)も有理数になる.
ところが
tan30=1/√3
で有理数でないので,矛盾する.

最初の仮定の「tan1 が有理数である」が間違いであり, tan1 は無理数である.

この問題を見始めてから解き方を考えてタイプし終わるまで,5分かかりませんでした.大学入試からだいぶ遠ざかっていますが,数学は一度じっくりやっておけば,そうそう学力は落ちないものです.
このくらいの事が出来る人は,この国にゴロゴロ居ます.残念な事に,そういう能力を持った人たちが正規の職にありつけずに大勢あぶれています.政権が変わる前から大問題(ポスドク問題)でしたが,政権が変わってますますまずい状況です.こういう人たちの能力を社会のために生かさないのは,日本にとって大変な損失だと思います.