科学研究費補助金の制度改正2011年01月11日 21時54分13秒

来年度予算が成立するのかが今度の国会の焦点です.
文部科学省の科学技術予算が大幅に増えたという報道があります.特に科学研究費補助金が首相の意向で31.7%も増え,研究者は大助かりになった様に見えます.
でも,実質的には金額は数%しか増えていません.むしろ大きいのは,複数年にまたがって予算を使用できる(基金化)ということです.科学研究費補助金に応募する場合,例えば平成23年は200万円,平成24年,25年は50万円の研究費を使いたいという予算を組んで計画書を提出します.もし何らかの事情により研究が進まない(例えば発売予定だった必要な機材が遅れた,新型インフルエンザ等で海外渡航が無理になったなど)ということになっても,当初の予算はその年度内に1円残らず使い切らなくてはなりませんでした.本当に1円残らずです.普通にスーパーマーケットなどで買い物をしたり,あるいは子どもの時を思い出して遠足のおやつを買うことを考えたりすると,1円単位でぴったり使い切るのは非常に難しいです.そのため,年度末になると大学の売店に1本1円のクリップ,1ブロック(50本)5円のホチキスの針が並びます.これらを最後に買って,残額をピッタリ0円にするのです.私は1円の領収書を切ってもらったことがあります.
無駄な買い物をして予算を使うということも多々見受けられました.年度末に道路工事が多いと言われるのと同じですね.もし繰り越す場合は繰り越し申請という非常に面倒な手続きが必要でした.
それが次年度から採択される科学研究費補助金の大部分で,繰り越し,前倒しが認められる様になったということです.これは税金で研究を進める点において,税金の有効活用の効果は非常に大きいと思います.
もちろん一方でルール改正が行われ,研究成果報告書を提出することが厳密に守られるようにされるようです.研究成果報告書は科学研究費補助金データベースで誰でも見ることが出来ます(ただ,反映が遅いのか,私が今年度はじめに提出したものが未だに掲載されていません).

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