「元気な日本復活特別枠」政策コンテスト結果2010年12月02日 22時08分07秒

12月1日に「元気な日本復活特別枠」の政策コンテスト結果が出ました.
評価会議のサイトから会議で配布された結果を記した資料(PDF)を見る事が出来ます.

評価は4段階で,
  • A:事業の「内容」が積極的に評価できる
  • B:事業の「内容」は積極的に評価できるが、「改革の姿勢」等の問題がある
  • C:事業の「内容」に一定の評価はできるが、「改革の姿勢」等の問題が大きい
  • D:事業の「内容」での評価が困難
です.国家情報じゃじゃ漏れのこのご時世,「政府情報システム刷新のためのクラウド基盤の整備事業」(183億円)はAの一方で,「クラウド対応型セキュリティ対策技術の研究開発」(584億円)はD.私には内容の詳細が分からないので,何ともいえません.
私に分かりそうな文教政策関連では以下の通りです. 記述は項目名,要望額(単位は100万円),評価結果の順です. 文部科学省
  • 安全で質の高い学校施設の整備 189,813 B
  • 未来を拓く学び・学校創造戦略 2,000 C
  • 小学校1・2年生における35人学級の実現 224,702 B
  • 学習者の視点に立った総合的な学び支援及び「新しい公共」の担い手育成プログラム 133,129 C
  • 「強い人材」育成のための大学の機能強化イニシアティブ 119,971 B
  • 成長を牽引する若手研究人材の総合育成・支援イニシアティブ 48,400 C
  • 元気な日本復活!2大イノベーション 78,800 B
  • 我が国の強み・特色を活かした日本発「人材・技術」の世界展開 44,790 B
経済産業省
  • 低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト ~グリーンイノベーション~ 2,000 A
  • 低炭素社会を実現する超低電力デバイスプロジェクト ~グリーンイノベーション~ 1,800 B
  • 低炭素社会を実現する超軽量・高強度革新的融合材料プロジェクト ~グリーンイノベーション~ 1,240 A
  • 次世代印刷エレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発 ~グリーンイノベーション~ 1,900 A
  • グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発 ~グリーンイノベーション~ 1,360 A
  • 世界的産官学連携研究センター整備事業 ~グリーンイノベーション~ 1,000 A
  • 生活支援ロボット実用化プロジェクト ~ライフイノベーション~ 840 A
  • がん超早期診断・治療機器総合研究開発推進プロジェクト ~ライフイノベーション~ 1,600 A
  • 幹細胞評価技術の国際標準化に向けた研究開発事業 ~ライフイノベーション~ 1,340 A
  • 課題解決型医療機器等研究開発事業 ~ライフイノベーション~ 3,000 A
  • 医療サービス国際化推進事業 ~ライフイノベーション~ 1,000 A
  • 医療情報化促進事業 ~ライフイノベーション~ 1,500 A
  • 環境・医療分野の国際研究開発・実証プロジェクト ~インフラ/システム輸出~ 5,640 C
  • 小型化等による先進的宇宙システムの研究開発 ~インフラ/システム輸出~ 3,360 A
  • 可搬統合型小型地上システムの研究開発 ~インフラ/システム輸出~ 2,280 A
  • 経済産業人材育成支援研修事業 ~インフラ/システム輸出~ 1,210 C
  • 革新的低炭素技術集約産業の国内立地の推進 ~グリーンイノベーション~ 30,000 A
  • 次世代社会エネルギー・社会システム実証事業 ~グリーンイノベーション~ 8,200 C
  • 次世代エネルギー技術実証事業 ~グリーンイノベーション~ 2,000 C
  • 太陽光発電システム次世代高性能技術の開発 ~グリーンイノベーション~ 920 B
  • 国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業 ~グリーンイノベーション~ 5,000 C
  • 地球温暖化対策技術普及等推進事業 ~グリーンイノベーション~ 2,000 C
文部科学省の方のものをざっと見た感じでは,初等,中等教育はそこそこ推進されているようですが,教育法や教材の開発という新しい試みに対する評価が低いようです.何よりも高等教育,科学技術を支える若手研究者に対する評価が低いという印象を受けました.やはり現政権は「科学技術立国」をやめるつもりなのでしょうか.
経済産業省の方のものは,環境と生命には重点が置かれ「錦の御旗」の様な印象を受けました.でも,独立行政法人が関わるものは評価が一ランク下げられているというのが私の印象です.また,技術の海外移転や人材育成についても評価が低いかなと思いました.

海外に高い技術を用いた製品などを売り,天然資源や食料を買うという長年の政策を転換するつもりなのかなというのが,相変わらずの印象です.

科学技術政策軽視については,長期的視点から見ると日本にとって大きなマイナスです.一例として,2000年以降のノーベル賞受賞者の,受賞対象の研究成果が30年前のものだという事を考えれば,基礎科学の軽視は30年後に大きなツケをもたらすと言えるでしょう.このあたりの事はまさに,今日発売の週刊新潮で藤原正彦氏が管見妄語というコラムで適切にまとめあげていました.

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