液体金属ナトリウムと水が接近2009年01月31日 23時51分59秒

先日のアルカリ金属と水の反応のビデオが,どういう教材に使えるのか疑問に思えるかもしれません.
ちょっと考えると,化学の授業では使えそうですね.でも私は環境問題の授業で使いました.原子力について,賛成するにしても反対するにしても,原理はきちんと知っておく事が重要だと思います.そこで原発の仕組み(加圧水型軽水炉)をまず説明し,「夢の原子炉」と考えられている高速増殖炉もんじゅの説明をしました.
もんじゅではウラン238をプルトニウム239に効率よく変換するため,中性子を吸収しやすい軽水ではなく,金属ナトリウムを液化させて炉内を循環させます.この金属ナトリウムは原子炉の外を回るもの(2次系ナトリウム)と熱交換し,さらに水と熱交換して水蒸気を発生させタービンを回します.
もし2次系ナトリウムと水を熱交換するところの配管に亀裂が入り,両者が直接触れたら…という事を考えるために映像を利用した訳です.実際の事故は熱交換するところではない2次系ナトリウムの配管が破損し,漏れました.幸いにも水どころか酸素も存在しないような環境にあったため,激しい化学反応は起こしませんでした.ただしこの事故のため,もんじゅは再臨界の目処が立っていません.