iPS細胞に関する京大の見解2008年04月12日 11時57分13秒

iPS細胞に関する京大の見解が出ていました.
この辺りの話,毎日新聞が独走している感があります.

iPS細胞:ヒトiPS作成特許 「基本技術、出願済み」バイエル先行で京大見解
マウスのiPS細胞を京大の山中教授が世界で最初に作成に成功した事は認知されています.
この際に山中教授が出願した特許が,ヒトのiPS細胞作成でも基本となる技術を含んでいるために,問題はないという事です.
もっとも,この特許で高額な特許料を求めようとすると,そのツケは医療行為を受ける患者(国民)に跳ね返るので,民間企業の暴走は許されないということでしょう.
知的財産の政策を司るのは経済産業省,医療福祉を司るのは厚生労働省です.「縦割り」で国民が不利益を蒙らないようにしていただきたいものです.
4月15日のシンポジウムでも,この件に関して山中教授のコメントが聞けるかもしれません.

月周回衛星「かぐや(SELENE)」による「地球の出」の動画2008年04月12日 23時45分32秒

月周回衛星「かぐや(SELENE)」による「地球の出」の動画が公開されています.こちらです.以前に NHK の番組等で昨年11月頃にご覧になったかと思いますが,あの時は地球が若干欠けていました.今回は『満地球』です.ハイビジョンカメラによる映像がネットでも公開される様になりました.

さて,このような「地球の出」は月面に降り立った宇宙飛行士から見えるでしょうか.残念ながらそれは不可能です.なぜならば,月の自転周期と公転周期はぴったり揃っているからです.言い換えると月は地球に常に同じ側を向けており,月から見ると地球は天球の同じ場所に留まり続けるからです.今回の様に探査機で月面をぐるぐる回る事により,はじめて「地球の出」が見られるわけです.

iPS細胞に関するイギリスの研究者の見解2008年04月14日 08時51分33秒

毎日新聞がやはり先んじている感のある iPS 細胞の記事です.

iPS細胞:21世紀の生物学、最も重要な成果 2博士に聞く

クローン羊のドリーを誕生させたウィルムット博士と,アフリカツメガエルの体細胞から別の個体を誕生させたガードン博士です.
この二人は4月15日のシンポジウムに揃って講演します.本務がなければ出席したのですが....

シンポジウム「iPS細胞研究の展望と課題」2008年04月15日 22時42分39秒

シンポジウム「iPS細胞研究の展望と課題」の記事が出ました.
技術面での説明もさることながら,「お金儲けのために利用される事は避けなければならない」という事を強調している点はさすがだと思います.
純粋な研究ならば論文の先取権を主張するだけでいいですが,産業が関わるとやはり特許で護らなければならなくなります.ただ,特許を適切に利用し,人類にとって真に有益な活用を考える事がこれからの課題です.一部の金持ちのためだけに使われるような技術であってはならないと思います.
このシンポジウムに行きたかったのですが,どうしても外せない仕事がありまして....明日の紙面でじっくり読ませてもらいましょう.

ここからヨタ話
最近は大学で知的財産や産学連携の話がいろいろとうるさく,教員や研究者を説明会に引っ張り出すこともあります.明らかに専門分野からして特許と関わらないのにいろいろと話を聞き,アンケートに答える事になりました.
私の研究は純粋に基礎研究なので,得た成果は広く人類が共有すべきであり,利益を独占するべきものではない.ただし,論文の先取権と著作権は保護する事.」などと書いたのですが,知財関係の方には喧嘩を売ったかもしれません.

iPS細胞あれこれ2008年04月21日 08時58分37秒

シンポジウムの直前にバイエル薬品の特許の話のスクープがあったため,色々とにぎやかです.

iPS細胞:実用化へ企業と意見交換 京大で「懇話会」

後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の保険料徴収の報道は毎日の様になされていますが,例えばこういう技術を海外の企業に特許で抑えられ,医療行為に高い費用を支払わなければならなくなるという問題にあまり言及しないのが不思議に思います.
この辺の話は
iPS細胞:特許、誰の手に 他に出願、可能性も 京大「一喜一憂しない」
をご覧頂ければ容易に想像がつくかと.